第零義 僕の物語

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「一体、誰がこんな事を………………………」 僕達やレオンさんより数時間も前にこの屋敷に侵入し、シルビアちゃんのお父さんを遊び殺した先客。 何者だろうか。 「………………スターダスト、この悪趣味な下手人に心当たりは?」 ギブソンさんの問い掛けに、レオンさんは首を横に振る。 状況がイマイチ飲み込めていないのは、レオンさんも同じのようだ。 「一先ずこの屋敷を出て、僕達の宿で状況を整理しませんか? 正直今何が起きているのかサッパリですよ。 僕達が掴んだ情報とレオンさんが集めた情報を合わせれば、何か見えて来るかもしれません。」 悪くない提案のはずだ。 レオンさんとギブソンさん。 この2人が揃えば並大抵の事は簡単に解決出来る。 ならば、とっととこんな所は出て2人で話し合わせるのが一番だ。 屋敷からの脱出を促すが、レオンさんは窓の外を鋭い目で睨んだまま動かない。 そして、振り向かず言った。 「………………どうやら、そんな悠長な事をしていられる暇は無さそうだ。」 何故ですか、と。 至極尤もと思われる僕の疑問には、レオンさんではなく外から聞こえて来た破壊音が答えた。 大きな物同士がぶつかり、崩壊するような音。 まるで、街で怪獣が暴れているような。 「な、何が─────何が起きてるんですか!!!?」 「これだけ判断材料が揃ってるんだ、昏き者以外に考えられねぇだろ。」 「いや、そんなはずが………それは有り得ないですよ!!!!」 「この愉快な死体を作った奴は、ほぼ確実に昏き者を使役するための呪文なり何なりを聞き出しているはずだ。 それで昏き者にこの街を襲うように命令を出したのだとしたら、何の不思議も無いだろ?」 「ええ、確かに昏き者を使役するには何らかの呪文のようなものが必要ですよ。 でも、それだけじゃ出来ないんです!! 昏き者を使役するには、あと1つ。 昏き者と契約した末裔であるシルビアちゃんがいないと──────」 そうだ。 昏き者を使役出来るのは、昏き者と契約をした者の末裔或いは婚姻という手段で権利を譲渡された者。 それは呪文を知っている前提だが、それを知っていると仮定して今現在その条件を満たしている者は。 このタイミングで昏き者がこの街に攻め入った事を合わせて考えると。 その可能性がある者は。
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