第零義 僕の物語

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食欲旺盛な昏き者の大群の中を強引に突っ切り、港に到着。 到着したのは良いのだが……………僕達を待っていたのは、レオンさんの頼もしい仲間では無かった。 「く、昏き者がこんなに………………………」 続々と、次々と海の中から湧き出て来る昏き者。 それだけならば、一応覚悟はしていたので動じはしなかったかもしれない。 だけど、流石にこれは生理的に嫌悪感を抱く。 昨日確認した時より、海の水位が上昇していた。 しかし、それは潮の満ち引きによるものではない。 大量の………そう、最早海を埋め尽くさんばかりの昏き者が大挙してこの街に押し寄せて来ているのだ。 夜の海で蠢く膨大な影。 重なって響く気色悪い鳴き声。 一体どれ程の数が集まっているのか。 「レ、レオンさん、協力者の方は何処に…………………?」 レオンさんがいるのだから、身の安全の保障はされていると言っても過言ではない。 だとしても、こんな異様な光景見ているだけでも気が狂いそうになる。 ギブソンさんも言葉を失っているし、一刻も早くこんな場所から離れたい。 そう訴えるとレオンさんは約束の時間になっても待ち合わせ場所に現れない友人を探すように辺りを見回し、 「………………………逃げたかな、あいつ。」 物凄く不安になる事を口にした。 今のは僕の聞き間違いだろうか。 今この場所にいるはずの仲間が逃げたと聞こえたのだが。 「逃げたって─────どうすんだよスターダスト!!!? お前の仲間にこの街から脱出する手段があるって言うからこんな所まで来たってのによ、肝心の仲間が逃げたってどういう事だよ!!!?」 やっぱり聞き間違いでは無かったようだ。 ギブソンさんは胸倉を掴む勢いでレオンさんに詰め寄り、事の次第を追及する。 問い詰められたレオンさんは視線を逸らし、ボソッと言った。 「…………………こんな所で待たせてたのが悪かったかなぁ。」 「「悪いに決まってるだろ!!!!!」」 そりゃ逃げる。 ここが合流地点だったなら兎も角、こんな場所で僕達が来るまで待たされたら僕だって約束なんて無視して逃げる。 「どうするんですかこれ!? また昏き者の大群の中を通って反対側の森まで逃げるんですか!!!?」 「まあ、仕方な…………………いや、その必要は無さそうだ。」
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