第零義 僕の物語

69/118
前へ
/786ページ
次へ
「数十mクラスの個体がゴロゴロいる、ですか………………………」 想像するだけで寒気がする。 海にはそんな化物が息を潜めていると知ったら、もう純粋なあの頃のように海水浴なんて出来ないよ。 「でも………だとしても、精霊の力を借りずに物理的に地形を変えるとなったら流石に時間は掛かりますよね? その作業が完了する前に、何とか探し出して止めさせないと。」 「そうだ、恐らくこれから先も昏き者は我々の里を襲って来るだろうしな。 昏き者を操っている者を突き止めるのは、我らエルフの里の者の急務でもある。」 賢者様達が命を擲って変えた地形を元に戻し帝国が海路を取り戻したとしたら、 また世界は血で血を洗う戦争の時代に逆戻りしてしまうかもしれない。 それを避けるためにも、僕達に出来る事があるならば行動を起こすべきだ。 僕達が今一番事件の中心に近いのだから。 「ん、あぁ……………………………………」 「探し出す、ねぇ…………………………」 だと言うのに、肝心のレオンさんとギブソンさんが消極的だ。 まるでやる気が無い。 この2人が動かなければ何も始まらないと言うのに。 「なぁサガ、昏き者を操ってる犯人は何処にいるんだ?」 「それを今から探すんじゃないですか。」 「手掛かりは? その犯人に辿り着くための手掛かりはあるのか? 大方こっちに期待してるんだろうが、オレは犯人に繋がるような情報は持って無いぞ。」 「右に同じく。 そんな情報を掴んでたなら、こんな所でグダグダ話し合いなんてしてねぇって。 今頃オレとスターダストで乗り込んでそいつをブッタ斬ってるだろうよ。」 「これは帝国が国を挙げて行っている戦争準備だ。 最早個人のレベルでどうにか出来るような問題じゃない。」 「それなりに経験を積んで来たから分かる事だが、個人は何処まで行っても個人なんだ。 そいつがどれだけ有能だとしても、国って言う巨大な力に対抗するには余りに無力だ。 ましてや相手は帝国だ。 生半可な力じゃ太刀打ち出来ねぇよ。」 「なら、僕達は……………………………」 「そう、オレ達の出番はこれにて終了。 後は今までオレ達が集めた情報を纏めて同盟諸国連合に報告すれば良い。 同盟諸国連合の方も調査と解決に乗り出してるだろうしな。 ギブソン、報告書はオレが纏めるから報告は頼んだ。」
/786ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30227人が本棚に入れています
本棚に追加