第零義 僕の物語

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「何がレオンさんだ馬鹿野郎!!!! 自分から不幸に首突っ込んだ上にそれをオレの所に連れて来やがって!! テメェは何処の回し者だ!? 自殺願望があるならお前一人で死ね!! それにオレを巻き込むんじゃねぇ!! オレはまだ生きたい、可愛い彼女作って結婚して幸せな家庭を築いて世界中を冒険し尽くしてからじゃないと死ねないの!!!!」 「無駄ですよ、レオンさん。 不幸の種は既に芽吹いていたんですから。 それをいつ回収するかの違いしかありません。 ならば、大きく成長する前の芽の内に刈り取った方がまだ不幸死する可能性は低いと思いませんか? という訳でお願いします、僕達を助けて下さい正義のヒーロー。」 目標を発見したと聞き付け、合流したのだろう。 僕達を追い掛ける、明らかに堅気の人間ではない強面のオジサン達の数は2人から10人程にまで増えていた。 追われ始めた頃は大分あった余裕も、疲労困憊の女の子に合わせて走っているため距離はかなり縮まってしまった。 このままでは追い付かれる。 恐らく5分と経たない内に。 「………………………………」 「レオンさん? 相手は英雄でも魔獣でも無いんですし、あれくらいお得意の符術で瞬殺でしょう?」 「………………………ねぇよ。」 「へ?」 「術符も何も持って来てねぇよ!!!! 」 「な、何でですか!!!? 符術と特殊な道具ってレオンさんのアイデンティティでしょ!? それを使えないレオンさんなんて、ただただ単に不幸なだけで生きる価値も希望も無い悲しい人じゃないですか!!!!」 「うるっせぇ!!!! こちとら一週間と少し前に全部使い尽くしてスッカラカンなの!!!!」 「この役立たず!!!!」 「勝手に巻き込んだ奴が言う台詞かそれが!!!?」 こうして僕達が口喧嘩している間にも、強面のオジサン達は直ぐ後ろにまで迫っていた。 マズいよマズいよ、この状況は。 何だかんだ言って結局はレオンさんがどうにかしてくれるのを前提でこんな無茶をしたのに、 肝心のレオンさんが使い物にならないのでは元も子も無い。 やっぱり止めておけば良かったかもしれない。 「道具は諦めますから何か知恵を出して下さいよ!!!! レオンさんと言えば悪知恵でしょ!!?」 「─────────」 急にレオンさんが真面目な顔になる。
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