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何だよ…………何だよその能力は。
卑怯にも程があるだろ。
ふざけてる。
せめて特殊な道具か技を使って打ち消したと言って欲しかった。
それならばまだ、納得は出来た。
だけど要は気合いで打ち消したなんて、そんな根性論で僕の切り札を攻略されたと聞かされたら馬鹿馬鹿しくてやる気が失せる。
「私に毒を使うのならば遅効性の物にするべきだったな。
全身に毒が回ってから徐々に緩やかに効果を発揮するタイプであったならば、私も打ち消すのは難しかっただろう。」
「クソ………………………………………」
「あれだな、君の敗因は勝負を焦った事だ。
君の師匠ならば、このような愚は犯さず慎重に事を運んでいただろう。」
「クソッ──────────」
「さて、そろそろ遊びは終わりにしようか。
君が他にも隠し玉を持っている可能性も否定出来ないからな、油断せず"少しばかり"本気を出すとしよう。」
「クッソォォォォォォォォォォォォォ!!!!」
ヤケクソだった。
ほとんど狙いも定めず拳銃をブッ放したが、そこに騎士のお姉さんはいなかった。
最後に発砲音が聞こえて、意識が途切れた。
ゴメン、シルビアちゃん。
そしてクソ喰らえ、チート野郎。
「あー…………………………………」
喉が渇いた。
でもフカフカのベッドから起き上がる程優先度は高くない。
枕元に水差しでもあったら最高なんだけど。
「あ、サガさんお目覚めですね!
気分はどうですか?
リンゴジュースを頂いたのですけど、如何ですか?」
「ありがとうシルビアちゃん、貰うよ。」
冷たいリンゴジュースが喉を伝い落ちて行く。
それに伴い意識が覚醒し、最後に眠りに着く前の記憶が────────
「無事だったんだね、シルビアちゃん!!!?
僕達が今いるここは何処!!!?
あれから僕達はどうなったの!!!?
ギブソンさん達は!!!?」
「お、落ち着いて下さいサガさん!!」
「ご、ゴメン………………………………」
興奮してシルビアちゃんの肩を掴む手に力が入り過ぎていたらしい。
大声で一気に捲し立てても全部答えられるはずも無いので、一つ一つ順々に尋ねる。
「残念ですが、ここは帝国です。
サガさんが気絶した後、あの方に私達はここまで連れて来られました。」
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