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顔の造形は思わず崇めてしまいそうな程に整っている。
それに出る所は出て引っ込む所は引っ込んだモデル体型。
極め付けは、長く尖った耳。
レオンさんに聞いた事がある。
この世界には、個体数こそ少ないものの美男美女揃いで個々人の能力が普通の人間を遥かに上回る種族がいると。
目の前の人は、その特徴に全て合致していた。
「もしかして…………………エルフ?」
「ん、今ので脱げてしまったか。
まあ良い、私としても特に隠す理由は無いからな。」
確か、エルフは普段人が寄り付かない森の奥で暮らしていて滅多に人前に姿を現さないはず。
その美貌に魅せられた人間にエルフ狩りなるものをされた過去があるから、
人間嫌いは余程なものだと聞いていたけど…………………余りそう言う雰囲気は無さそうだ。
「あ、ジロジロ見てしまってすいません。
危ない所を助けて頂きありがとうございました。
ほら、レオンさんもちゃんと御礼を──────」
一向に感謝の言葉も述べないレオンさんにそう促したのだが、隣にレオンさんはいなかった。
振り向くと、
「この野郎、病み上がりのオレに全力疾走させやがって。
こんな禿一直線な薄毛を生やす頭は、見苦しいバーコードを晒す前に全部剃ってスキンヘッドにしてやるよ。」
レオンさんは死体蹴りし(死んでないけど)、仕返しに強面のオジサン達の髪を剃っていた。
その内の何人かは、今後愉快なモヒカンにするか禿にするかの選択を強いられる剃り方をされていた。
心の一部ではザマーミロと思うが、流石に同情してしまう。
「うし、こんなもんか。」
低レベルだけど技術的には高度な仕返しを終えたレオンさんは立ち上がり、僕に並んでエルフのお姉さんに頭を下げた。
「やや、今回は本当に助かった。
手持ちの金が少ないので、御礼と言っても頭を下げる事しか出来ないのを許してくれ。」
ちゃっかり謝礼は要求するなと布石を打つ辺り実にレオンさんらしい謝り方だ。
エルフのお姉さんはと言うと、そもそも助けた事に対して金品を要求するつもりは無かったらしく顔の前で手を振る。
「いや、良いさ。
成り行きで助けただけだし、私にとってそこまで礼を言われるような事では無いからな。
ではな、何があったかは知らぬが君達の問題が解決されるのを願っている。」
エルフのお姉さんはそのまま僕達の横を通り過ぎようとしたが、ふと足を止めて向き直った。
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