第二愛 氷の大地

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「まぁ……………………出来れば。 本人はハムスター並みに無害でも、買った奴に悪用される可能性もあるしな。 国か、それに準ずる機関に管理をさせた方が良いじゃないか?」 少し話を聞いてみたいと言うのは内緒の話。 あの男には少し興味が湧いて来た。 悪魔をその身に宿しても、溢れ出る力から来る破壊衝動に精神を支配されず使い終わったトイレットペーパーの芯みたく沈黙している様子。 何があいつをそのようにさせたのか、是非とも話を聞きたいものだ。 「ふむ、事情はよく分からんがお前が言うのならそうなんだろう。」 師匠とラウドの緊迫した会話からある程度の事情を察したらしいゴウライは、 傍に控えていた部下に短く命令を下し壇上と舞台裏へと行かせた。 物々しい格好の人間が壇上に上がった事でオークションは一時中断され、 舞台の裾で幾つか言葉が交わされた後司会者が酷く困惑した調子ながらも陽気な声を会場に響かせる。 「申し訳ございません皆様、只今緊急の知らせがあり真に勝手ながらこの賞品の出品を取り止めさせて頂きます。 お買い上げのご意志があったお客様には──────」 少々疑問の声も上がったが、目玉商品でもないので特にもめる事無く騒ぎの中心の男は引っ張って行かれた。 「さて、行くか。」 「何処に?」 おもむろにゴウライは立ち上がり、オレ達にも出発を促す。 「オレの──って言うか、連邦族長としての館に部屋を取らせる。 取り調べの真似事くらいは出来るだろ。」 サンキューオッサン。 「………………………………………」 「あー。」 沈黙。 本当に何も喋らない。 シャイボーイかと思って他の奴等には退室してもらったが、 それでも言葉一つ発してくれないどころか視線を斜め下へ固定したまま。 心の扉は固く閉ざされているようだ。 「その、何だ? あちこち引っ張り回して悪いな。 オレはレオンハルト・スターダストって言うんだわ。 気軽にレオンとでも呼んでくれ。 あぁ、別に危害を加えるつもりは無いから安心してくれ。 少し話を聞きたいだけなんだ。」 しかしこの男、ウンともスンとも言わない。 はいとか応とか良かろうとかへいよーかるでらっくすとか、そんな返答まで望んでいた訳ではないが。 流石に完全無視はオレも傷付くぞ。
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