プロローグ。

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彼女の義弟は中学二年で現在有名進学校に通っている。一年の時に行った全国テストで全教科満点という快挙を成し遂げ、漫画の中の様な、絵に描いた天才として有名だ。 それに、魔女の美貌を色濃く受け継ぎ、中学二年生にして端正な顔立ちをし、バスケ部部長と生徒会長もこなし学校や他校にファンクラブまで出来ている。 「三者面談も、私は絶対行かないわよ」 魔女はキッチンへ向かうと、その長い爪で換気扇を回し、煙草を吸いだした。夫や皇汰の前では絶対に吸わないのにだ。 「わ、わかりました」 上擦んだ声で、彼女は俯きながら部屋を出ていこうとする。 「あの人も、貴方の三者面談には行きたくないって」 真っ赤な唇を歪ませて笑う。 「可哀想に。せめて見た目ぐらい可愛かったなら、王子様と結婚ぐらいできるのに、ね」 貴方には無理よ、全て。 そう嘲笑いながら否定していたら、玄関が思いっきり開いた。 「姉ちゃん、行くぞ!」 その一言が、彼女を助ける蜘蛛の糸。 何もかも諦めても、無理して笑い、傷付きながら懸命に生きる少女はを、皇汰はこう言って慰めたのだから。 『姉ちゃんは、現代のシンデレラだよ』
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