姫は憂鬱

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不覚にもどきりとしてしまった。お前は本物の騎士かとツッコミたいぐらいに。 それから何も言い返せなくて結局鷹島は行ってしまった。 自分に落ち着けと言う意味を込めてふぅ…と息をはく。 とにかくホットミルクを飲もうとマグカップにミルクを入れて温める。 「アイツはいったい何者だよ」 今までのやつらとは何処か違う感じがした。だからうろたえただけだ。 ふぅふぅと温めたミルクを冷ましながら飲む。 ホットミルクを飲み干したマグカップを洗って帰宅する。今日は少し疲れた。 いや、少しどころじゃない。 早々部屋についたらシチューの匂いがした。 何故か料理だけは得意な健司のおかげでご飯だけは困らない。 シチューは大好物だったりする。 「健司飯~」 「はいはい」 「今日は疲れた」 「なんかあったのか?」 「話す気にもならん」 今日のことは今すぐにでも忘れたいぐらいだ。 でも、 『愛しているから。貴方を守りたいんです。この命にかえても』 「………っ」 「ゆず、顔真っ赤だぞー?」 「うるさい!」 ああ、今のおれはどうかしている。 熱々のシチューを冷ますことすら忘れて口に含むぐらいに。 「あっつ!」 「動揺しすぎ」 このおれが動揺? そんなことあるわけない。あるわけないんだっ! あんなやつ興味ないしおれは誰のことも好きになったりしない。 ニヤニヤする健司から目を逸らしてシチューをたいらげた。 おわり
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