02 . 雛見 秕

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「あー、それは今もかな」 「そうなの?」 私の返しに楓ちゃんは軽く驚く。 「うん。私が知ってるだけでも三回。本人は滅多に泣かない、なんて言ってるけどね」 その時のことを思い出して、ふと笑ってしまった。 強がっている要はちょっと可愛いかった。 「そう、ならよかった」 楓ちゃんが安堵の微笑みをこぼす。 「なんだか、私と別れてから変わってしまった気がしていて……不安だったの。この前会ったときも、ずっと強がっているように見えたから。泣いてるなら、ちょっと安心」 二人の関係は。 楓ちゃんと要の関係は、たぶん普通の彼氏彼女とは違うんだろうな、と思った。 彼女の口ぶりからそう思わされた。 不思議だけど、愛おしい関係。 「私たちはね、お互いが泣ける場所を探してたの」 「泣ける場所?」 「うん。じゃあまずは」 楓ちゃんが目を細める。 「私の話から」 見えていなかったものが、少しずつ開けていく。
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