一章 廻り合わせのゴラル

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 さらに転校してくるのなら転校先の制服くらい用意しておくものだ。急な転校ならいざ知らず、明らかな不可解な転校だ。  ──結果、転校生はクラスメイトたちからは異物として認識されたのだった。 「──そういえば、いっきーのクラスに変な転校生が来たんだって?」  昼休みの校舎の屋上。  私は高一の秋以降のいつものメンバーで昼食をとっていると、そのうちの一人である『やっしー』こと安部晴明が今朝の話題を持ち出してきた。ちなみにやっしーは私のことを『いっきー』という愛称で呼ぶのだ。 「……ん、ああ、マジで変な転校生だったよ」  私はいったん箸を休めやっしーに顔を向ける。 「ちなみにどの辺が変なんだい? 噂だと明らかな凄い尾鰭が付いていて話にならないからさ」  ……一体どんな尾鰭が付いたのだろうか?  私としてはそちらの方が気になる。 「そうだな……先ずは──」 「──それ、本当かい?!」 「……えっと、何が?」
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