一章 廻り合わせのゴラル

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 それは“魔法に関わる思考をすると変身してしまう”という、傍迷惑な副作用を、やっしーの協力で特定の動作をする事で変身し、また本来の私の姿に戻るのも同様に特定の動作を行うことで可能となり、お陰さまで私は大助かりをした。  なにしろ、それ以前は“魔法に関わる事”を思考するだけで私の意思に関わらず変身してしまうので、それを誤魔化す手段を考え付くのに残り僅かだった高一の夏休みの日々を完徹してしまったほどだ。  ちなみにその時に考え付いた手段は変身してしまった瞬間に発動する“幻影の魔法”で他人からは私の本来の姿に見えるようにしていたのだ。ただ、直接の見た目は誤魔化せても、影の形や鏡などに映る姿は変身している姿そのままなので、そこら辺に注意しておかなければならないのが厄介だった。  閑話休題。  そんな彼が、わざわざこの様な情報を見せてくるということは、転校生とこの都市伝説とはなんらかの関係性があるということなのだろう。 「いいかい? この記事に出てくる都市伝説の女と、いっきーのクラスに来た転校生は十中八九同一人物と断定できる」 「──その根拠は?」 「実際に都市伝説の女を目撃したという書き込みに含まれていた情報の日時の前後に、目撃された場所近辺にある複数の防犯カメラに公立高校の制服を着た望月比奈実の姿が記録されている。つまり──」  ──つまり、状況証拠的に、
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