一章 廻り合わせのゴラル

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 やっしーは少し考えて、 「……そうだね、“宙を泳ぐ魚”とかかな?」  と、口にした。 「…………おいおい、やすっちそれは無いじゃねーの? “宙を泳ぐ魚”なんてUMAが近くにいたら、真っ先に捕まえてマスコミに売り込むぜ。そうすりゃ、上手くいきゃ俺は全国区だ!」  この場に顔を突き合わせている中で、一人だけやっしーの言葉を冗談と捉えて、からかう彩歌。  そういえば、彩歌には私が“魔法使いに変身する”事は打ち明けたが、天魚のことは一切話してはいない。なにしろ天魚は大抵は普通の人間には見えない状態でいるため、彩歌は認識することが出来ない。しかも、天魚は数日ほど前から何故か人前に出る姿を解いて、形の無い状態で私の周りを漂っているのだ。  ────まさか……ね────  “宙を泳ぐ魚”を偶々発見し、私のところに連れてきた夢野姉妹──  “宙を泳ぐ魚”から魔法のチカラを授かった私──  “宙を泳ぐ魚”の存在を公然の秘密としている『協会』に所属する本物の魔法使いであるやっしー──
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