一章 廻り合わせのゴラル

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 三者三様、“宙を泳ぐ魚”に関わっている者、その存在を知っている者、それら各々の見解は── 「──ねえ、転校生はイクミンとセイメイどちらのタイプの魔法使いなの?」 「思念を根源とする魔法の使い手は、総じて他者から魔法のチカラを付与された者たちだ。だから、タイプで分けるなら、いっきーと同タイプとなる。つまりは、望月比奈実は“何者かから魔法のチカラを得て魔法使いになった”」 「──で、他人に魔法のチカラを付与できる存在に心当たりはあるのか、やっしー?」 「勿論、ある。ただし、僕が知る範囲かつ『協会』が調査した情報によれば過去六十年で此処近辺の地域で確認されている、そんな芸当が出来る存在は“宙を泳ぐ魚”だけだ」 「……」 「……」  ──……………………それって、“天魚”のことじゃん!  “宙を泳ぐ魚”を知る他の三人も様子から察するに私と同じ結論に至ったようだ。  転校生はどうやってかは不明だが、私たちが“宙を泳ぐ魚”と関わっているのではないかと疑いを持ち、真偽を確かめる為にストーカーを始めたのだろう。 「──でも、どうして転校生はあたしたちが“アレ”と関わっているかもなんて思いに至ったのかしら?  それに、そもそも何で転校生はわざわざ転校してきたの? 別段、転校なんてしてこなくても、放課後になってから街を徘徊して、“アレ”と関わってそうな人物を探せばいいのに……………………あ!? そうか! なら──」
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