一章 廻り合わせのゴラル

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 希はいまある疑問を口にし、そしてなにかに気付いたのか一人思考に耽ってしまった。  一体、彼女は何に気付いたのだろうか?  私は今一度、これまでの話した内容を思い返してみるも、…………全然わからない。 「ま、いずれにせよ望月比奈実には警戒をしておいた方がよさそうだ。もし、又ストーキングされるようなら、そのときは改めて対策を考えよう」  メンバー内であらかたの話のまとめ役になっているやっしーが転校生の話題をそう締括る。  確かにこれ以上話し合っても進展は見込めないだろうし、私は文句をはさまず、他の皆も異論がないようで普段のとりとめとない世間話に花を咲かせる。  転校生に対して「警戒しよう」と話し合った日から、早一週間。  あれから数度、散発的に転校生は夢野姉妹と彩歌をストーキングしてきた。  どうやら、転校生は人探しが目的と見て相違ないだろう。しかも、女性の可能性が大で、かつ出来るだけ早く見付け出そうしているようだ。  それは何故か?  詳細は未だまったく謎のままだが、付け回された夢野姉妹や彩歌が感じた印象は「付けられる度に転校生の尾行が雑になっていた」とのこと。  一体何をそんなに焦っているのか…………ハッ!! まさか……まさかだが、転校生は魔法のチカラを手に入れたことで、現実と自身の妄想との区別が着かなくなったのでは?!
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