一章 廻り合わせのゴラル

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 そして、魔法を扱える者にとって魔力の残滓を見付けることはさほど難しい事ではありません。さらに特定の相手の魔力の残滓の特徴をつかむ事が出来れば、その特定の相手の足取りなどを追うことも出来るんです。  つまり、望月比奈実はそれを辿った結果、希さんたちや姫百合さんに行き着いたのですよ」 「…………なるほど、粗方は理解できたわ。それで、転校生が追っている魔力の残滓の主は──?」 「言わずもがな、ですよ」 「なら、やっぱり転校生が探している人物は──」 「──ええ、まず間違いないかと……」  なにやら、やっしーと希の間だけで話が通じ合っている様で、二人して転校生が探している人物を特定したらしく、何故か私を二人が一瞥した。 「一先ずの疑問は解消したけど、また別の疑問が出てきたわね。何で、あたしらや姫ちゃんにアレの“残り香”がついてたのかしら? 同一空間にいるだけでも移るの?」 「それもありますが、魔力の残滓は誰も彼もが呼吸と同様で常時生じさせているので、普通は混ざって判りづらくなるんです。ですが、魔法など魔力を運用できる者ならば話は別です」 「つまりは──?」 「希さんたちは“目眩ましに利用された”ということですね。“宙を泳ぐ魚”に」 「──なるほど、そういうことだったのね。これで今ある疑問はすっきりしたわ。後は今回あたしたちにかけられている迷惑を取り除いてもらうだけね」
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