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「あの時は無用な情報ゆえ省いたが、妄想魔法は先に述べたように正常な世界との間に“摩擦”をもたらす。そして、その摩擦から“生じた熱”はやがて溜まり蓄まって行き場を失い、終には『ヴォンッ!!』となる。その際にもたらされる厄災は最悪で星一つを塵にもしかねぬ。それに比べれば、あの娘が帰属する世界は悪くとも小規模の国が一つか二つ消し飛んだ程度。星が一つ消えるよりよっぽどマシであろうに────」
あれから数日。
カルディアはあの日垣間見せた気丈さで、数日で復活をはたした。──といっても、やはり少しばかり無理をしているきらいがあったが……。
そんな彼女に、天魚が明かした真実を伝える事は当然できる筈がなかった。
私はその事を胸の奥にしまい込み、適当なでっち上げでカルディアに今一度“《門》を開くことは出来ない”と言い包めた。
その事に彼女は再び気落ちをしたが、何かを察したのか穴だらけの私の言を問い質してくる事はなかった。
その時、私はいつか、ちゃんと話そうと心に誓った。
さて、とりあえず無理やりに一段落したところで、私達は新たな問題に行き当たった。
それは、カルディアの今後のこと。
あと数日で夏休みも終わり、私達はいわゆる日常へと戻るわけだが、彼女は違う。
私達は「あーだ。こーだ……」と、意見を出しあったが、やはりと言うべきか若輩者の浅知恵では妙案がなかなか出てこなかった……。
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