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「その癖、なんとかなんねーかねぇ」
「善処しまーす」
ルイが苦笑していると、用意ばっちりのユキとミサキが扉越しに中の様子を伺いながらノックする音が聞こえた。
キョウがルイの髪をくしゃりと掬って撫でる。
「いくんだろ?言いだしっぺ」
その笑顔は、普段見ることがないような優しい目をしていて、覗き込んだまま待っていたミサキが、驚いたように口を開けた。
「なににやにやしてんの?」
扉を開けたキョウが怪訝な顔でミサキを見下ろした。
「あ、いや。えっと。ど、どこいく?」
未だに覗き込むスタイルのまま、ミサキが視線を宙に浮かせている。
「えぇ?どこ行くのか決まってへんの?」
「真冬か。お前は」
着込んでだるまのようになっているユキをみて、ルイがキョウの後ろで笑い声をあげていた。
「鍋いこう?鍋!あったかいもの食べに」
「魚民ぃぃ」
「俺は焼肉とか食いたいんやけど」
キョウがタバコに火をつける。エレベーターを待たずに階段を使うのは、そのためのようだ。
「んじゃ、バラバラで食いにいけよ」
賑やかな声を見送って、PrivateSUNは夜を迎える。
数時間後、すっかり酔っぱらって帰ってくる彼らを待って。
本日、定休日。
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