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「そういえば、締切、間に合ってよかったね。本多さん、安心した顔で帰っていったよ」
「間に合わないなら、間に合わないでいいんだよ。間にあっちゃったけど」
ミサキがグラスの横に置かれたライムを軽く絞る。
「別に売れっ子になりたいわけじゃないから、好きな事書いて、好きな酒が飲めばいい。そしたら、割り勘負けしても、まぁ許せるかな」
「何の割り勘まけ?」
「ん?幸せの」
ミサキの笑顔が、小さく浮かんだ。
自分に不安なんて、もたない。
今、ここがいたい場所。
今、これがしたい事。
「負けたこと、ないけどね」
得意げに笑って、ウォッカに手をかける。
「かっこいいね」
「かっこいいでしょ。つきあう?」
「付き合う」
思わず笑ったルイのグラスに手持ちのウォッカを軽く注ぐと、ミサキがグラスを持ち上げた。
きっと。
幸せの総量はきまっていて。
それは命と同じように。
それぞれ平等なんかじゃないかもしれない。
だけど、欲張らずに。
今を生きてみるのもいい。
「あぁ?もうエビがないねん!」
忘れかけていたユキの寝言に、ルイとミサキが噴き出した。
PriveteSUNの本当の夜は、これから。
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