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しかし、何故か声は聞こえず、パクパクと口を開閉させているようにしか見えない。
それでも、何を言っているのか分かった。
今でも、自分が願っていることだからだ。
突如、視界いっぱいに砂嵐が広がった。
数秒で砂嵐は止み、先ほどとは違うシーンが映し出される。
今度は自分にも身体がある。
見たこともない部屋に自分はいる。
隅にあるベッドに見たこともない少年が座っている。
少年はベッドの近くの窓を開け、外を眺めた。
事故防止用の鉄格子に体重を預けた、その瞬間。
鉄格子が壊れ、それと共に少年の身体が窓の外へ飛び出してしまう。
正志はどうにか少年を助けようと駆け出した。
なんとか間に合い、少年のわき腹辺りに腕を伸ばす。
しかし、伸ばした腕は少年の体をすり抜け、少年はそのまま窓から転落した。
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