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7月の終わり頃、まだまだ暑い日が続いている都内某所の駅周辺。
「次どこいくべ?」「そういやあ、今日キンカラが安くなる日じゃん」「お、じゃあキンカラでけってー」「混んでるんじゃね?」「そん時はまた考ればいいんじゃね?」
いつもならこの時間はスーツ姿のサラリーマンたちが大勢いるが、夏休みのせいか、今は若者たちの数が圧倒していた。
だが、当然仕事をしている者もいる。
スーツは着ているが、掛けているサングラスのせいか、サラリーマンとは思えない雰囲気をかもし出している。
遊びふけている若者たちの前を通り抜け、サングラスの男はビルとビルの隙間にある袋小路に入った。
普段ならこんな時間のこんな場所に人などいるはずない。
だが、人の気配がそこにあり、実際に人影があった。
その男の対面には右頬に大きな傷がある、黒髪オールバックの男。
今さっき到着したばかりの、サングラスの男。
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