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しかし、目を覆うまで伸びた髪が視界を遮った。
(あれ、俺こんな髪長かったっけ?)
とりあえず髪をどけ、もう一度周囲を見渡した。
自分は窓際のベッドにおり、周りのベッドには誰もいない。
――見たことがない。
次にすぐ隣の窓を開け、外を見た。
鮮やかな夕焼け、森、田んぼ、畑、その他もろもろ。
ド田舎だった正志の故郷にあるようなものが大量に目に入ってきた。
どこを見ても、懐かしさを覚えてしまう。
もしかしたら、自分はいつの間にか故郷に帰ってきたのではない
か、とさえ思えてしまうほどに。
しかし、
――記憶にない。
「ここ……どこだよ……」
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