戸惑うばかり

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 強輔は16歳の高校1年生であること。  都会の私立高校に通っており、一人暮らしであること。  今は夏休みで実家に帰省して来たこと。  など、他にも様々な情報を教えてくれた。 「それでねー、お父さんたら――」  話が世間話にまで発展しそうになった時、病室のドアが開き、 「こんにちは、おばさん。キョウ兄(にぃ)は――」  ドアから制服姿でツインテールを揺らす可愛らしい少女が入ってきた。  入るなやいなやベッドから起き上がっている彼を見て固まっている。  数秒の沈黙の後、フルフルと小柄な身体を震わせ、 「キョウ兄が生き返ったああああああ!!」  と叫びながら彼のベッドにダイブしていった。  もちろん、彼を巻き込む形で。 「本当に強輔君なんだよね!? もう起きないかと思ったよッ! 会えないかと思ったよーッ!」 「ちょ、なんだお前ッ! 離せ! おい、顔を叩くな!」
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