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ダイブしたと思えば、今度は人の話も聞かずにいきなり顔を涙目でペチペチ叩いてくるではないか。
近くで見ている靖子に救いの眼差しを送るが、涙を流しながらも嬉しそうな表情でこちらの状況を見ているだけだった。
「マジで離れろ! 重い、息が上手くできない!」
持てる力を限界まで使い、ようやく乗っかってきた少女を引っぺがすことに成功する。
しかし、いきなり突き放されたのか、少女は大声で泣き出した。
「びええええええええええええええええええ!! なんでそんなヒドイこと言うのッ! 咲彩(さや)はただ心配だったなのにいいいいいいいい!!」
「え、おい……えぇ……」
病室の外――いや、病院全体にまで響いてるんじゃないかとさえ思える泣きっぷりに、戸惑う正志。
「ちょっと、病院内では静かにしてくださいよー」
そんな大騒ぎをしていたら、人が来るのも当然のことだ。
ドアが開き、ナース服を着た若い女性が入ってきた。
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