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「なんですかコレは!?」
大泣きしてる少女、それを見て挙動不審な男、それらを見てハンカチ片手に涙を流す女性。
コレを見て正常でいられる人間はそういないだろう。
ドア付近でオロオロしている若いナースも、その範疇にいる人間だった。
一番最初に冷静になったナースはとりあえず医師を呼んだ。
正志はすぐさま検査を受けさせられ安否を確認した後、退院することになった。
医師も驚愕を隠せないようで、何度も『奇跡』という言葉を使っていた。
「でも良かったー、キョウ兄が無事で」
帰り道は夕日を浴びながら3人並んで帰ることになった。
まだ歩くことになれなく、しかも眼を覆うまでの長さの髪で視界が狭い。
少しストレスを感じながら、田んぼや畑に囲まれたような景色を懐かしいと思いながら視ていると、制服姿の少女――咲彩が目に入った。
眼は少し赤く腫れており、本気で心配していたようだ。
「さっきは悪かったな。ひどい事言って……俺も取り乱しすぎてた」
「いやいや、私もちょっと舞い上がっちゃったというか、嬉しすぎて
我を忘れたって感じだったもん。謝るのは私の方だよ」
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