Scene 0

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 芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋。  秋にもいろいろあるけれど、わたしはだんぜん恋愛の秋だ。  きっかけは、ただの一目ぼれだったけど。  いつからか、気がつけばいつもあのひとのことを考えているわたしがいた。  あのひとの言葉、あのひとの優しさ、あのひとの笑顔。  今はもう、寝ても覚めてもあのひとのことで頭がいっぱいだ。  これが、恋というもの。  無色透明だったわたしの人生は、あのひとに出会って、一面鮮やかな色で塗りつぶされた。  もうこれ以上、がまんするなんて耐えられない。  胸に秘めつづけた想いが、今にもはちきれそうだ。  あのね、わたし、とうとうあのひとに告白するよ。  決戦は、きょうの放課後、ふたりっきりの学校の屋上で。  運命の神様も、きっとわたしに味方してくれる。  いざゆかん、一之瀬 千秋、一世一代の大勝負だよ――――!
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