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芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋。
秋にもいろいろあるけれど、わたしはだんぜん恋愛の秋だ。
きっかけは、ただの一目ぼれだったけど。
いつからか、気がつけばいつもあのひとのことを考えているわたしがいた。
あのひとの言葉、あのひとの優しさ、あのひとの笑顔。
今はもう、寝ても覚めてもあのひとのことで頭がいっぱいだ。
これが、恋というもの。
無色透明だったわたしの人生は、あのひとに出会って、一面鮮やかな色で塗りつぶされた。
もうこれ以上、がまんするなんて耐えられない。
胸に秘めつづけた想いが、今にもはちきれそうだ。
あのね、わたし、とうとうあのひとに告白するよ。
決戦は、きょうの放課後、ふたりっきりの学校の屋上で。
運命の神様も、きっとわたしに味方してくれる。
いざゆかん、一之瀬 千秋、一世一代の大勝負だよ――――!
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