Scene 2

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「チアキ様。不肖わたくし、今までチアキ様のおっしゃる色恋の素敵さを頭ごなしに拒絶し、一切聞き入れようとしてきませんでした。その態度を深く反省し、ここに謝罪いたしたく存じます」 「うむ。くるしゅうない」 「『こいつ暇なときだけ空き教室きてうっとおしいなあ。私は1人で静かに本を読みたいのに、正直邪魔だなあ』と思ったことも1回や2回じゃありませんでしたが、それも合わせて謝罪いたします」 「……それは初耳だけど、正直なんとなく知ってた。許そうぞ」 「本気でうっとおしいときは、いったん屋上に退避してチアキをやりすごし、帰ったところであらためて空き教室にきて読書してたことも1回や2回じゃありませんでしたが、同じくそれも合わせて謝罪いたします」 「うん。マユちゃんの思考って、基本根っこがクズ野郎のそれだよね。それも小者の。わりと知ってたけど。そして許すけれども」 「一通り許してもらったところで、夕月先生との距離の縮めかたがわかりません教えてください」 「クズの上にポンコツだったか……。救いようがないね!」  だって、恋愛小説だと、基本待ってれば勝手にイベントが発生して話が進むつくりだからね! 「いやさ。同じクラスなんだから、まずは普通に話しかけてみればいいでしょ」 「ぼっちなめんな。コミュ障なめんな。スクールカースト底辺なめんな」 「友達をつくらないから表面化しなかっただけで、友達をつくれないタイプだったか……。これもだいたい知ってたけど。そして今日1日だけでマユちゃんの株がストップ安なんだけれども。……ちなみに一応聞くけど、あゆむくんと一緒の文芸部に入るというのは」 「無理! 絶対に無理! こうして毎日窓から眺めているだけで限界ッ!」 「……うん。なんというか、あゆむくんがずっと窓際の席に座ってるおかげで、眺めるだけならいつでもできて、良かったね?」  ああ、私が愛する恋愛小説の主人公たちよ。  「その気持ちを当人に直接伝えれば、このシリーズ1巻の前半くらいで終わったんじゃね?」とか常々思っていて、申し訳ありませんでしたっ! 「告白して振られたわたしが言うのもなんだけど、現実世界だと、こっちからなにかアクションを起こさないかぎり、なにも起こらないんだよ、マユちゃん?」  すみません……。
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