第1章

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 宇宙にポツンと浮いている小さな星、名前は「リトル・テラ」。 地上が半分、海が半分、その二つを再び半分にした部分は真っ黒。太陽の光が当たってないのでナモの宇宙船からは黒くて何も見えないのです。  ナモは宇宙船から梯子を降ろしてリトル・テラへと降りていきました。 途中で梯子が切れると、黄色い肩下げカバンから一厘のアヤメの花を取り出してパラシュート代わりに使います。  けれど、アヤメはパラシュートにむいてはいないようで、一時はふわりと浮かんだ体は右へ左へ空に浮かぶナモを揺らして、やがてフッとその花びらを散らしてしまいます。  まっさかさまに落ちていくナモは「ナムサン!」と唱えました。  前に、宇宙を彷徨っていた旅人が今のナモと同じように、ある星に落ちていったとき唱えていた言葉でした。  言葉の意味はわからなかったけど、きっと何かご利益があるのだとナモは思っているのです。 その落ちていった旅人は真っ赤な流星となって消えていきましたが、ナモはそのことを知りません。  徐々に、落ちる勢いが増していきます。 体が涼しくなったり温かくなったりしましたが、ナモはずっと平気なままで、思わず欠伸を挟んでしまい、眠気眼のまま地面へと衝突してしまいました。  けれどナモにダメージはなく、160キロ剛速球(軟式ボール)ほどの衝撃を被ったのはちょうど、落下地点のさきにいた1人の少女でした。  少女は死にました。
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