第1章

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本当なら家を出たい。しかし、それはできない。 なぜならば、好きな祖母がいるから。 時間は刻々と過ぎていく。わたしはどうすればいいの。 両親は公の場では仲良く振舞っているが、その裏で激しく仲違い。とても見ていられない。父が母を殴る所を、見たことがあった。母は気が強く、父に平手打ちを食らわす。夫婦喧嘩のとき、祖母の所にやってくる。彼女は私や弟を優しく慰めた。 周囲が騒ぎはじめた。 十二月上旬、祖母が急性白血病で他界。もうこれ以上、両親同士の喧嘩は見ていられない。この世と決別し、天国の祖母と再会する。 私は決めた。葬式を欠席し、誰にも別れを告げずに家を出て、見知らぬ大都会に到着する。凍死しようとうろついたが、公園で少年の吸血鬼に遭遇。彼は何も言わないまま、私の喉元や両手首を噛んだ。
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