月夜の幻と現実

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ただ、想う。 かぐや姫は何故、地上に来たのか。 それは御伽噺の中でつまびらかにされていない。 十六夜は気紛れだった。 だから、きっと今回も気紛れに地上に来たに過ぎなくて、自分達は五人の公家の様に翻弄されていたに過ぎないんじゃないかと。 そう思いながら月を見上げる。 月は普段通りで、煌々と辺りを照らす。 落ち着いたのか、それでもどもりながら島崎が声を上げた。 「ど、ど、どうするんですか? 天文部、部員不足で認められませんよ」 「……その前に、顧問も居ねーよ」 現実的な問題には、現実的に答えるしかなかった。
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