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しかし、自分が語り掛けるより早く声を発した人物が居る。
「姫、残念ながら正体がばれた以上は、こちらに居続ける事は出来ませんよ」
天文部顧問の先生だった。
ちっこいのに、毅然とした態度の前には、島崎も自分も呆気に取られ言葉を忘れている。
「うん。和泉先輩も島崎君もバイバイだね」
十六夜の手を先生が取り、月を見上げる。
光の筋が二人の上に降り注いだ。
それは有り得なくて、そして幻想的な光景で、二人の姿は光の中でより美しく輝いている。
やがて眩しさに目も開けられない状態になったかと思ったら、次の瞬間に二人の姿は光と共に忽然と消え失せていた。
「い、和泉先輩」
反対側に立っている島崎が震える声で自分を呼ぶが、それ以上は何と言って良いのか分からないらしく、ただ口をパクパクと開閉している。
自分も何を言って良いのか分からない。
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