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莉李と呑んでいると料理を片付けに仲居さんが二人来た。
サッとテーブルを片付けたかと思うと今度は布団を敷きだした。
さすが仲居さん。
早い。
瞬く間に終った。
『終わりましたので。』
最初に案内してくれていた仲居さんがニッコリ笑って俺達に言った。
『もう露天風呂入られました?』
そして、莉李を見て言った。
『…あっ。まだです。大浴場には入りました。凄く広くて気持ち良かったです。良い温泉ですね。』
ちゃんと答える莉李。
『有り難うございます。まだ露天風呂に入られていないなら、ちょうど良かったです。渡したい物があって。』
そう言った仲居さんは入口の襖の奥から何か取り、莉李の所へと歩いてきた。
そして、莉李に何かを手渡した。
『これ、キャンドルです。私が趣味で作ってるんですけどね。露天風呂に入られる時に着けてみてください。全ての灯りを消して、キャンドルの光だけだとまた雰囲気が違うと思いますよ。』
ニッコリ笑う仲居さん。
「…えっ?いいんですか?」
驚く莉李。
『はい。是非、貰って下さい。お客様を見た時に何だか凄く暖かな感じの方だなと思いまして。私の趣味の範囲の物なので滑稽かもしれないのですが。宜しければお試し頂けたら、私も嬉しいので。』
「良かったな。莉李。有り難く受け取っときな。」
俺が言うと頷いて仲居さんへ視線を向ける莉李。
『…ありがとうございます。露天風呂で使ってみます。』
莉李も仲居さんに微笑み返していた。
それでは。と、頭を下げて部屋を出ていった仲居さん。
何て言うか。
凄く良くしてもらってる。
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