莉李&陽次 温泉旅行編

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自分の彼女に辛い想いをさせてしまった事。 だから、心に残る楽しい想い出を作ってやりたいという事。 そして、彼女が人見知りで人と接するのが苦手だという事。 その彼女に海と一体化出来る露天風呂に入れてやりたいという事。 それが、この旅館の露天風呂付きの部屋だと。 露天風呂付きの部屋がある旅館は幾つかあった。 だけど、海が一望出来るというのはこの旅館だけだった。 だから、どうしても。 そう話した。 そしたら、その女将さんは少し黙ってから言った。 《事情は分かりました。もう、全室ご予約頂いてるので空ける事は出来ないのですが。でも、もしキャンセルが出た時にはお客様を第一に優先させたいと思います。それで宜しいでしょうか?》 なんと、キャンセルが出たら優先的に泊まらせてくれるらしい。 「マジっすか?!」 驚き言うと電話口でクスクス笑う女将さん。 《はい。お客様の彼女さんに対しての愛情がお話を聞いただけでも伝わってきましたので。今回は特別に。でも、キャンセルが出たらの話ですけど。》 何だっていい。 とりあえずでも、キャンセルが出る事を祈って。 それから数週間後だった。 女将さんから連絡が来たのは。 キャンセルが出たから予約されますか?と。 勿論、即答。 で、何とか取れたんだ。 かなり、無理を言って泊まれた旅館。 だから、こんなに良くしてもらってるのが不思議な位。
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