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ん?……あ…れ?
ちょっと待てよ。
あの声…。
「…あっ。」
袋からキャンドルをひとつ取り出し眺めている莉李は、ん?と俺を見た。
『…どうかした?』
「ん?いや。あの仲居さん。ここを予約した時の女将さんの声に似てるなって思ってさ。」
顔知らねぇからなぁ。
『…そうなのか?でも、あれだろ?普通、女将さんって仲居さんとは違う着物とか着てるんじゃないのか?あの仲居さん、他の仲居さんと同じ着物だったぞ?』
あー。確かに。
「だよな。俺の勘違いかもしんねぇな。まっ。いいんだけど。ってか、それ。綺麗だな。手作りとか見えねぇな。」
莉李の手にあるキャンドルに視線をやる。
『…ん。凄いよな。虹色。こっちのはキラキラが入ってる。』
袋から別なキャンドルを取り出し見せる莉李。
袋にはキャンドルが5つ入っていて。
ちゃんとガラスのグラスにキャンドルが入っている。
売り物みたいに見える。
その5つはどれも色やデザインが違っていて。
「後で着けてみようぜ。露天風呂で。」
言えば頷く莉李。
キャンドルをテーブルに並べて眺めながら梅酒を呑んでいた。
『…陽次。』
梅酒のグラスを持ちながら俺に視線を向ける莉李。
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