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電車を乗り継ぎ目的地行きの電車に乗った。
「莉李。大丈夫か?」
人混みが苦手な莉李だから、電車乗り継ぐのも少しキツいかもな。
『…ん。なんとか。まだ、乗り継ぐ?』
着いてくるのに必死で何処行きに乗ったのか全く見ていないらしい莉李。
「いや。これで終わりだ。こっから少し乗っとくから。景色も良くなるぞ。」
『…そっか。良かった。』
少しホッとした表情で莉李は窓へと視線を向けた。
「莉李。着いたら二人でゆっくりしような。」
隣に座る莉李の手をギュッっと握り締めると莉李も微笑んでギュッっと握り返してきた。
莉李が喜んでくれるといいな。
『…あっ。海だ。陽次。ほらっ。海。』
外の景色を眺めていた莉李が嬉しそうに俺に言った。
「本当だな。夏は海に泳ぎに行こうな。莉李。海で泳いだ事あるか?」
『…どうだろうな。記憶には無いな。でも、水着とか持ってないぞ。』
だろうな。
「俺が選んで買ってやる。」
笑って言うと
『…陽次はスケベだから、自分で選ぶ。』
笑って返された。
ってか、スケベって。
「セクシーな水着だろ?選ぶなら。」
『…ヒラヒラの着いた水着だ。ワンピースの。』
「えぇ~。やっぱ水着はセクシーじゃなきゃダメだろ。」
『…他の女でも見とけ。私は着ない。』
プイッっと窓の外に視線を向ける莉李。
「嘘だよ。莉李は何着ても似合うから。それに、俺は他の女には興味ねぇし。莉李だけだよ。心配すんな。」
顔を覗き込み言う。
『…陽次にその気が無くても、陽次に寄ってくる女は沢山居るだろ?』
「何?やきもち?」
『…やきもち。』
可愛い過ぎ。
「莉李がずっと一緒に居るから他の女なんて寄って来ねぇよ。莉李より良い女は居ねぇから。」
言って頬にキスをする。
『…私の陽次です。って書いとくかな。』
悪戯に笑って言う莉李。
「いいぞ。書いても。」
『…冗談だ。私は陽次を信じてるから。』
フワリと笑う莉李は、何だか少し大人っぽくなった気がした。
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