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しばらくすると目的地に着いた。
「莉李。下りるぞ。」
立ち上がり莉李に手を差し伸べるとニッコリ笑って手を伸ばす。
莉李の荷物も取り二人で電車を下りた。
「よしっ!着いた!」
『…熱海?』
駅の看板を見た莉李が呟いた。
ありきたりだけど、今回の温泉旅行は熱海にした。
電車で少し遠出で気軽にってなれば熱海がいいだろうと思って。
車の免許でも取って自分の車でもあればまだ遠くまで行ってみたいけど。
まだ、高校の俺にはこの位しかしてやれねぇから。
「おうっ。熱海。莉李、温泉入りたいって言ってただろ?」
『…言ったけど…それって、夏に…』
「夏より冬だろ?温泉。俺もすげぇ楽しみにしてたんだよ。莉李との温泉旅行。」
『…陽次…』
俺をじっと見つめる莉李。
「莉李。行くぞ。いい宿取ったから。露天風呂あるんだぞ。しかも、部屋に。凄くねぇ?楽しみだろ?」
莉李は人の気持ちとか凄く敏感に分かる奴で。
だから、俺の考えとかきっと分かったんだと思う。
だけど、そういうの気にしてほしくないから。
それに、本当に俺もすげぇ楽しみにしてたんだ。
莉李と二人きりの温泉旅行。
『…ん。楽しみだな。温泉、一緒に入る?』
そんな俺の気持ちも分かってくれる莉李は、やっぱ最高な女だ。
ニッと笑って俺を覗き込む莉李の肩を抱いて、おでこにキスをした。
「襲ってもいいなら。」
『…やっぱ、陽次はスケベだな。』
「健全な男の子なんで。」
二人で笑いながら駅を後にした。
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