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【陽次】
おっちゃん達と別れ、結局は兄貴達と呑む事になった。
まぁ、少しだけ付き合ってやろう。
ってか、募る話もあるだろうし。
だから、少しだけ。
莉李も楽しそうだし。
相変わらず兄貴達が三人揃うと煩い。
でも木佐さんも笑って混ざってるし。
仲良かったんだろうな。きっと。
木佐さんがこっちに来た本当の理由を知った。
何か色々あったみてぇだけど、やっぱり族の頭してたら大変な事も多かったんだろうなって。
族って何だかんだで、絆が強いから。
毎日の様に一緒に過ごして、走ったり喧嘩したり。
とにかく楽しい時間を仲間と過ごしてたら時間なんて忘れちまう位。
そんな時間がいつまでと続いて欲しいって思うのも分かる気がする。
だから、木佐さんの仲間達も同じで。
でも、やっぱ歳を重ねればいつまでも馬鹿やってらんねぇ訳で。
どっかで誰かが退かなきゃいけねぇんだ。
そうすっと、周りの奴も気付いてそれぞれの道を探して歩き出す。
木佐さんはそれにダチが事故った事で気付いて、自分から離れた。
皆に気付かせる為に。
一人で色んなもん抱えて大変だったんだ。
兄貴も似たような立場だから、木佐さんの気持ちは一番良く分かるんじゃねぇかな。
それに、見たところ兄貴達と木佐さんは木佐さんがこっちに来てから初めて会いに来たみてぇだし。
お互いちゃんと自立するまでってやつかもしんねぇな、きっと。
五年経って会いに来たって事は。
兄貴も浬さんも店は順調だし、亜紀さんも一人前の職人だしな。
何か、お互いを尊重してるこの人達の関係。
良いよな。
俺等もそうなれるんだろうか。
なれたらいいよな。
四人でギャーギャー騒ぐ姿を見て微笑む莉李もまた何かそう言うのを感じてるんじゃねぇかなって隣で莉李を見て思う。
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