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「莉李。これ呑み終わったら部屋に戻るか。」
莉李の耳元でそっと言うと、莉李は微笑んで頷いた。
馬鹿みたいに騒ぐ兄貴達を莉李と二人で眺めながら、酒も呑み終わった。
「兄貴。俺等、そろそろ部屋に戻るな。木佐さん、ごゆっくり。亜紀さんも浬さんも呑み過ぎんなよ。」
立ち上がり兄貴達に言えば、四人してバッと俺と莉李を見上げる。
『もう、戻るのか?全然、呑んでねぇじゃねぇか。せっかくなのに、ゆっくり呑めよ。なっ?莉李ちゃん。』
兄貴が言った。
『…ありがと。でも、今日は沢山歩いて疲れたから、部屋でゆっくりするな。四人でゆっくり呑んで。ねっ?』
さすが、莉李。
莉李にそう言われたら兄貴達も何も言えねぇよな。
『そっか。じゃ、またね。おやすみ。莉李ちゃん。帰る時、また店に寄ってよ。』
木佐さんが微笑んで言った。
『…はい。そうしますね。じゃ、おやすみなさい。』
『『『『おやすみ~。』』』』
四人共、莉李を見て微笑みながら手を振っていた。
いつもの事だが、それでも腹が立つ。
だから、四人に軽く睨みを効かせ部屋を出た。
「ったくよ。あいつら、いつも莉李ばっかだな。おまけに木佐さんまで。」
莉李と手を繋ぎ自分達の部屋へ戻る。
『…いつもの事だ。気にするな。』
ニッと笑う莉李もたいがい慣れてきたらしい。
部屋に戻り冷凍庫からビールと梅酒ソーダを取り出す。
「莉李も呑むだろ?」
言って昨日と同じ所に座った莉李に手渡す。
『…ん。ありがと。』
缶を開けて二人で軽く乾杯をした。
「何かさ。良いよな。兄貴達の関係。」
『…ん。良いな。』
「俺等もさ、あんなふうになれんのかなぁって思った。吉井さんとかさ、雅とか。」
『…なると思うぞ。陽二達、似てるからな。尋さん達と。だから、きっとそれぞれ別な道に進んでもずっと一緒に居たみたいに再会出来る。鬼羅に集まる人達は皆そういう人達だ。』
莉李がそう言うなら、きっとそうなんだなって思える。
「莉李もその中の一人なんだぞ。鬼羅のメンバーなんだからな。」
言ってビールをグッと呑んだ。
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