783人が本棚に入れています
本棚に追加
『…それも陽次のおかげだな。』
莉李は俺を見てニッコリ笑った。
「別に俺のおかげじゃないぞ。」
『…でも、陽次が私を引っ張り出してくれたから…皆に出逢えたんだ。』
莉李はよく俺に『陽次のおかげで』とか言うけど、俺はただ莉李が欲しかっただけで周りの奴等を虜にしたのは莉李自身だ。
俺もまさか莉李がこんなにも周りを虜にするなんて思ってもみなかった。
だから、莉李には人間的な魅力があるんだと分かってほしい。
「まぁな。きっかけを作ったのは俺かもしんねぇけどさ。でもな、莉李。俺はさ、莉李を自分のものにしたかっただけでさ。兄貴達にしても親父にしても、鬼羅の奴等にしても、莉李が虜にしたんだぞ。莉李の魅力があったからだ。莉李は、もっと自分に自信持てばいい。」
言ってビールを飲み干し、莉李の隣に胡座をかいて座り込む。
『…魅力?私に?』
莉李は椅子に体育座りをして俺へと視線を向ける。
「そっ。莉李はすげぇ魅力があんだよ。他の奴には無いもの持ってる。だってよ。鬼羅の奴等なんて特に誰でも受け入れねぇ奴ばっかだからさ。それを一瞬にして虜にすんだぜ?すげぇよ。マジで。」
あの関東一の硬派な暴走族とレディースの連中を一瞬だぜ?
改めて考えたらマジすげぇよ。
『…すげぇのか?』
キョトンとする莉李が可愛い。
「すげぇよ。俺の莉李は。」
言って少し背伸びして莉李にチュッっと口付けた。
『…陽次の莉李ちゃんだからな。』
ニカッっと笑う莉李は、分かってんのかいないのか。
まぁ、莉李だからいいか。なんて思ってしまう俺も大概だな。
最初のコメントを投稿しよう!