783人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関フロアへ向かうと、ちょうどおっちゃん達がチェックアウトをしていた。
「おっちゃん!」
声をかけるとおっちゃん達がこっちに振り返った。
『おうっ!どうした?こんな早くに。』
手を挙げるおっちゃん。
「莉李が見送りてぇって。」
言えば二人して莉李を見て嬉しそうに笑った。
『…おはようございます。良かった。間に合って。』
二人の所に立ち止り莉李が言った。
『おはよう。莉李ちゃん。わざわざありがとう。』
幸恵さんがニッコリ笑って言った。
『…いえ。私が会いたかったから。』
莉李がそう言うと二人共すごく嬉しそうだ。
『帰る前に莉李ちゃんと陽次君の顔が見れて良かったわ。ねぇ。あなた。』
『だな。』
幸恵さんが言うとおっちゃんも笑顔でそう言った。
『…気を付けて帰ってくださいね。』
『ん。ありがとう。あっ!そうだ!せっかくだし、一緒に写真撮りましょうよ。ねっ?』
幸恵さんが楽しそうに言った。
『おっ!そうだな!旅の記念に。いいか?』
おっちゃんが俺と莉李を見て言った。
「全然いいっすよ!なぁ?莉李。」
言って莉李を見ると莉李も頷いていた。
旅館の人にお願いして撮ってもらった。
『莉李ちゃん。陽次君。本当にありがとう。結婚してから毎年、こうやって温泉旅行に来てたけど。今年は莉李ちゃんと陽次君に会えて本当に嬉しかったわ。これからの楽しみも増えたし。野菜沢山送るから楽しみに待っててね。莉李ちゃん達の写真も楽しみに待ってるわ。』
莉李の手を握り締めて幸恵さんが言う。
『…はい。楽しみに待っててくださいね。私も野菜、楽しみにしてます。お二人共、お元気で。』
「おっちゃんも元気でな。」
『おうっ!お前もな。』
二人を見送った。
『…また、いつか会えたらいいな。』
車を見送りながら莉李が呟いた。
「そうだな。」
莉李にまた新しい出逢いがあって連れてきて良かったと改めて思った。
最初のコメントを投稿しよう!