783人が本棚に入れています
本棚に追加
【莉李】
幸恵さん達を見送ってから部屋に戻った。
『野菜、楽しみだな。』
陽次がタバコに火を付けて言った。
「…ん。楽しみだな。」
まだ敷いたままの布団にゴロンと転がって言った。
『あれだよな。なんつぅかさ。子供出来ねぇとかあんのな。俺、そういうの全然考えた事無かったからさ。子供って夫婦なら出来て当たり前ってか、そういうもんだと思ってた。幸恵さんとおっちゃん見てたら何か…可哀想とかじゃねぇんだけど…ん~、上手く言えねぇ。』
そう言いながらタバコを揉み消した陽次。
「…ん。そうだな。でも、可哀想じゃないよな。…幸恵さん本当に幸せそうだったし…。おっちゃんも幸恵さんを見る目が凄く優しかった。…夫婦の幸せって、子供だけじゃないのかもしれないな…。…陽次は子供欲しいのか?」
起き上がり陽次に向いた。
『まぁ。ん。欲しいかどうかって言われたら欲しいかもしんねぇな。あんま考えたこと無かったけどな。』
陽次も布団の上に座ってきた。
「…じゃあ。私が子供産めなかったらどうする?…別れる?」
…ちょっと心配になってきた。
『有り得ねぇな。莉李と別れるとか、ぜってぇ有り得ねぇわ。』
「…でも、子供欲しいんだろ?」
布団に視線をやった。
最初のコメントを投稿しよう!