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帰り支度を済ませロビーへと向かう。
莉李は木佐さん、亜紀さん、浬さんと一緒にロビーのソファーで待っとく様に伝え、俺は兄貴と一緒にチェックアウトの為に受付けカウンターへと向かった。
兄貴が先に会計を済ませ次に俺が済ませた時だった。
『おはようございます。如何でしたか?露天風呂。彼女さん、喜んでいただけました?』
カウンターの奥の方から暖簾を潜りやって来た着物姿の女の人がニッコリ笑って言った。
「…えっ?…あっ!キャンドルの…って、あれ?もしかして女将さんですか?」
その人は旅館に来た日に莉李に露天風呂を案内して手作りのキャンドルをくれた中居さんだった。
でも、今日はその時の着物とはまた違った綺麗な着物を着ている。
『はい。この旅館の女将をさせていただいてます。この度は当旅館をご利用頂きましてありがとうございました。ご満足いただけましたでしょうか?』
カウンター外へと出てきて頭を下げる女将さん。
「女将さんだったんですね。あっ!予約の電話の時はありがとうございました。莉李…、あっ。俺の事彼女ですけど、すげぇ喜んでくれました。キャンドルもすげぇ綺麗で、何度も露天風呂入ってました。新しい出逢いもあったりで、本当にこの旅館に来れて良かったです。」
俺も頭を下げてお礼を言った。
あの時、女将さんがキャンセルが出たら俺達を優先してくれるって言ってくれて本当に助かった。
『そう言って貰えて私共も光栄です。本当に可愛い彼女さんですね。これからも末永くお幸せになってくださいね。またのご利用お待ちしております。』
ロビーのソファーに座っている莉李にチラッと視線を向けてからニッコリ笑った女将さん。
「はい。また一緒に来ます。ありがとうございました。」
俺もニッコリ笑って莉李を見た。
何年後になるか分からないけど、また莉李とここに来ようと思った。
ロビーに行き莉李達に声をかけ女将さん達に見送られ旅館を後にした。
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