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旅館に着いて部屋に案内された。
部屋に入って直ぐに目の前の景色に視線が釘付けになった。
海が一望出来る。
しかも、夕焼けに染まっていて凄く綺麗だ。
窓際へと行き見入っていると、お茶を淹れていた仲居さんが露天風呂に入ると海と一体した感覚になると言った。
海と一体?
意味が分からず聞き返せば、仲居さんが露天風呂を見せてくれて説明してくれた。
どうやら、露天風呂に浸かれば海と視線が同じになり海と一体になった様な感じになるらしい。
成る程。
納得していると仲居さんが私の側に来て呟いた。
『格好良くて優しい彼氏さんですね。お似合いですよ。羨ましいです。』
そう言ってニッコリ笑った。
そりゃあね。
「…私の彼氏なんで。」
ちょっと、と言うかかなり自慢してみた。
仲居さんが部屋を出てから陽次の隣に座った。
『何笑ってたんだ?仲居さんと。』
どうやら見ていたらしい。
「…陽次の自慢しただけだ。」
『俺。自慢の彼氏か?』
「…かなりな。私の陽次だからな。」
ニッコリ笑って陽次を見ると、そうか。と言ってキスをしてきた。
『疲れただろ?飯の前に露天風呂、入ってみれば?』
「…ん~。まだ、少しゆっくりしたい。陽次。先に入ってもいいぞ。私、後で入るから。」
言って、ゴロンと畳に寝転がった。
『んじゃ、先に入るな。俺、大浴場行ってみっかな。』
立ち上がった陽次を見上げて聞く。
「…大浴場?」
『ん。でっかい風呂。部屋の露天風呂もいいけど、やっぱ温泉って言えば広々した大浴場だろ。』
部屋以外にそんなお風呂があるのか。
「…じゃ、私も行ってみたい。」
温泉って言えば大浴場なんだろ?
起き上がり言うと
『…別にいいけど…。あれだぞ。知らねぇ人ばっかだぞ?大丈夫か?』
陽次は心配してるらしい。
「…大丈夫…だと思う。ん。大丈夫。」
ずっと陽次にくっついている訳にはいかないし。
せっかく温泉に来たんだ。
一人で大きなお風呂に入るんだと思えば、全然大丈夫。だと思う。
『分かった。じゃ、一緒に行こうぜ。着替え持ちな。そこに浴衣があるから。』
と、言うことで人生初の一人温泉デビューをする事にしました。
少しドキドキ。
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