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それからは、木佐さんが観光地を色々と案内してくれてお土産も沢山買った。
夕方になりそろそろ帰るかと言う事になり木佐さんのお店へと向かう。
「…木佐さんお店に住んでるのか?」
『お店って言うか、お店の裏に部屋があるんだ。1人だし、わざわざ借りなくても良いかなぁって思ってさ。』
「…1人?お母さんは…」
お母さんが何とかって言ってなかったか?
『母親はもう居なくてね。あの店、前は母親がスナックしてたんだけど、体調崩して入院してさ。だから、俺はこっちに来たんだ。父親とはもう俺が中学位の時に離婚してたから、母親は地元がこっちで離婚してからこっちに帰って来てたわけ。俺も長く会ってなかったんだけど、まぁ色々あってさ。母親の事看取れて良かったと思ってる。』
…そうだったんだ。
「…お母さんも木佐さんが帰って来てくれて嬉しかったでしょうね。良かった。木佐さんが優しい人で。」
木佐さんにニッコリ笑って言った。
『そんな優しくないよ。俺はさ。あの時、母親が俺を連れて行くって言ったのをダチと離れたくなくて遊びたくて、酷い事言って着いて行かなかったんだ。泣きながら出ていった母親の事、ずっとほったらかしにしてたんだよ。』
そう言って木佐さんは、少し苦しそうに笑った。
皆はそれを黙って聞いていて。
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