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【尋】
陽次には悪いと思ったが、莉李ちゃんを旅行に連れて行く場所が熱海ってのを知って堪らず動いた。
陽次の部屋に置いてあった温泉旅行の雑誌が目に付き、マルがしてある旅館にすぐさま予約の電話をかけた。
何とか部屋を押さえられた事に安堵した。
座り込みタバコを吸い出したら陽次が風呂から部屋に戻って来た。
『うおっ。ビビった。兄貴、来てたのかよ。』
髪をタオルで拭きながら座る陽次を見る。
「あぁ。近くを通ったからついでに寄ってみた。」
『ふぅ〜ん。今から仕事か?』
陽次もタバコに火をつけた。
「今から2号店に顔出す。お前、冬休みはバイトどうすんだ?決まってねぇなら俺の店に…」
『行かねぇよ。アホか。莉李が居るのに兄貴の店でバイトする訳ねぇだろ。』
最後まで言う前に素早く断られた。
「言ってみただけだよ。んな、怒る事じゃねぇだろ。そんなんじゃ、莉李ちゃんに嫌われるぞ。」
タバコを揉み消しながら言った。
『莉李に怒る事ねぇし。ってか、冬休みはバイトしねぇ。』
陽次もタバコを揉み消した。
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