16人が本棚に入れています
本棚に追加
~sceneⅠ~ 一月十二日(金)
いつまでも見ている。
でも、見ているだけでは満足なんてできやしない。
可愛い子を目の前にして、なにも出来ないわけだが、さしあたって問題はない。好機なんで転がってくるものだし、あとはそれを自然に受け止めれば良いだけだ。大体毎回こんな事を言っている。依然としてまだ会話出来ない彼女の脚を、指先を、髪の毛を、吐きだす煙りを今はただ、見ている。
喫煙休憩室
少し遅めの昼食。狭く改装された喫煙室は、昼時だと座る事ができない。座れたとして、満席時には紫煙で天井は白くて濁り、喫煙者といえども十五分居るだけで外に出たくなる。分煙する事にはいいのだが、喫煙者の事を何一つかんがえず、社会の目の向く方向だけ見た結果がこれだ。
それでも、此処に居なくてはならない理由。
此処には彼女が来るのだ。
僕も彼女も高い税金を払っていると言うのに、一体全体どうなっているんだ! もしも、彼女が肺癌にでもらったら、どう責任をとるつもりなのか……。
最初のコメントを投稿しよう!