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一月二十三日(火)
呼吸をすると、大気中の冷たさが肺に送り込まれる。肺に送られた粒子と酸素は脳を鮮明にし、眠たい身体を起こし始める。席へと戻り煙草をくわえた。
五時、夜明けまでもう少し。
先ほどとはまた違い、頭もやや醒めてきた。六杯目のズブロッカが出てきた頃、隣の客が眼を覚ました。知らない女性だが、一時間程前まで一緒にテキーラを呑んでた。多分、次会っても忘れているだろう。
覚えていたら話せば良い事だし、無理に仲良くなる必要もないから、これといって差し支えはない。しかし、女性一人でも呑みにくるものなんだと改めて認識した。
この時間まで一人で呑みに来るくらいなのだから、やはり何かを探しているのだろう。手でも握って反応を確かめてみたら、これといって拒絶するわけでも無く、単純に何も見えていないのだ。
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