一月二十三日(火)

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 探しものが見付からない今日にサヨナラでもしてる最中だと思う。意識がこっちに戻ってきたと同時に、支払いをして帰った。  じきに空になるグラスを見つめ、煙を吐きだす。世は一定に回り、夜明けを迎えた。  通勤中のサラリーマン達は何かに吸い寄せられるかのように前に進み、ぶつかったところで何も言わない。すっかり明るい朝と柔らかい日差しの太陽。  冬の冷たさは少し和らぐ。  操られたサラリーマン達とすれ違いながら、駅着く。まだ話せない彼女を見つけるべく。ただそれを見つめる事しか出来ない今、出来る事は一つ。携帯に目を向け時間を確認した。  八時五十四分  五回目にしてやっと、出勤時間が判った。
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