二月八日(木)

2/2
前へ
/46ページ
次へ
 最初の一つであった遺伝子。生まれてくる限り絶えなく流れれる遺伝子の記憶に前世の記憶が追加される。当然その当時の遺伝子と、さらに前世の記憶が増えている訳だから、今、ものすごい情報をもってる事になるのだ。  じゃあ、何で情報に埋もれないか。全部覚える必要が無いからだ。嫌な事ならとっくに隠蔽したわけだし、思い出した時には読み込みを始めるわけだから、容量なら空きがあるわけだ。  究極のご都合主義だ。  全てに記憶がある限り、ぼくらは最初と最期を共有している。全て繋がっていたんだ。人と地球と宇宙は。その秘密を永らく守り続け、時空を旅するタイムトラベラーだ。  その夢のような世界でただ一人の彼女とは、前はどうなったのか。この先どうなるのか。少しづつ、前と違う事をしているであろうぼくらの未来はどうなんだろうか。夢に現れ、微笑んでいる彼女はまた、この先に現れてくれるのだろうか。  彼女に触れてもいない現実はまだ、終わりそうにもない。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加