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「それだけじゃないんだぜ。
扉の奥の秘密の部屋には一冊の不思議なノートがあるんだぜ」
「それってまさか」
イサオが慌てた声を出した。
都市伝説で語られる不思議なノートといえば、誰しもが想像するんじゃないだろうか。
「ゴウ、早まるんじゃない。
誰を殺したいのか知らないけど、命というものはそんな簡単に失われていいもんじゃないんだよ」
イサオはそうまくしたててゴウに詰め寄る。
「一体誰にそんな恨みがあんだよ?
担任の臼田か?
それともお前を振った緒方センパイか?」
ハジメも皮肉な調子を引っ込めて真剣だ。
「ば、バカやろうだぜ。
何でデスノートなんだよ」
「何だ、違うのか」
イサオはホッとした様子でゴウから離れる。
「じゃあどういうノートなんだ?」
ハジメは目を逸らせ気味に眼鏡のブリッジを押し上げる。勘違いしたことが恥ずかしいのだ。
「そこに書いた願いが何でも何でも叶うってノートだぜ」
「星の入ったボールみたいなものだね」
僕がそう言うと、
「7つ集める必要がないぶんお手軽だぜ」
ゴウはそう応えて笑った。
「ゴウはどんな願いを書くつもりなんだい?
やっぱりスケベな願い?」
いつも穏やかでにこやかなクセに、実はイサオはなかなか辛辣だ。
「なにがやっぱりなんだぜ。
俺の願いはまだ決めてないんだぜ」
「まあ、別に知りたくもないんだけどね。
ボクは南の島のビーチに旅行とかしたいなあ」
そして一言余計だったりもするくせに、願いはなぜかOLみたいだ。
「とにかく図書室に行けばいいわけだな。
さっさと行こうぜ。
こんな入り口でモタモタしてたら誰かに見つかってしまう」
ハジメがイライラし始めた。
クールでシニカルなメガネ男子を気取っているくせに、本来はせっかちで心配性なんだ。
先に立って歩き、少し進んだところで持参した懐中電灯のスイッチを入れた。
僕たちもそれにならって各々自分の懐中電灯を点ける。
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